古典

易経の卦の読み方:八卦、爻、変爻のしくみ

POMODIARY チーム · · 7 分で読めます

易経(『周易』、英語ではBook of Changes)は、中国で最も古い古典のひとつです。その核となるのは「卦(か)」と呼ばれる64の図形で、それぞれ6本の線(爻、こう)を積み重ねてできています。卦全体と各爻には、短い文章が添えられています。初めて読む人の多くがこの本に戸惑うのは、思想が難解だからではありません。卦がどう組み立てられ、どの順番で文章を読めばよいのかを、誰も説明してくれないからです。

このガイドでは、そのしくみを解説します。八卦、爻、変爻、文章の層の重なり方、伝統的な3枚のコインを使う方法、そして最初の卦(本卦)から2つ目の卦(之卦)を導く方法です。ここでは易経を、思索のための古典として扱います。占いをどう考えるかにかかわらず、その構造は理解する価値があります。変化と時機をめぐる中国の思想を、2000年にわたって形づくってきたものだからです。

爻:陰と陽

すべての卦は、2種類の爻からできています。

  • つながった線(⚊)は陽と呼ばれ、堅く能動的なものと結びつけられます。
  • 切れた線(⚋)は陰と呼ばれ、柔らかく受容的なものと結びつけられます。

爻は下から上へ数えます。いちばん下が第1爻、いちばん上が第6爻です。これは重要な点です。爻の文章(爻辞)はこの順番で並んでおり、位置そのものにも意味があるからです。いちばん下の爻はたいてい物事の始まりを、いちばん上の爻はその終わりや行き過ぎを表します。

伝統的な爻の名前は、数と位置を組み合わせたものです。陽爻は「九」、陰爻は「六」と呼ばれるので、卦のいちばん下の爻は初九(しょきゅう)か初六(しょりく)、いちばん上の爻は上九(じょうきゅう)か上六(じょうりく)となります。中間の爻は数字で呼ばれ、たとえば九二(きゅうじ、第2爻が陽)や六五(りくご、第5爻が陰)のようになります。

八卦

それぞれの卦は、3本の爻からなる図形(三爻の卦、小成卦)を2つ重ねたものとみることができます。三爻の卦は8種類あり、これを八卦と呼びます。それぞれに名前と、結びつけられたイメージがあります。最もよく知られたイメージは次のとおりです。

卦名前イメージ爻(下から上へ)
☰Qian 乾(けん)天陽、陽、陽
☷Kun 坤(こん)地陰、陰、陰
☳Zhen 震(しん)雷陽、陰、陰
☵Kan 坎(かん)水陰、陽、陰
☶Gen 艮(ごん)山陰、陰、陽
☴Xun 巽(そん)風、木陰、陽、陽
☲Li 離(り)火陽、陰、陽
☱Dui 兌(だ)沢(湖)陽、陽、陰

覚えるのに便利なパターンがあります。震・坎・艮では、1本だけの陽爻が下から中、上へと移っていきます。巽・離・兌では、1本だけの陰爻が同じように移っていきます。

下の三爻を内卦(ないか)、上の三爻を外卦(がいか)と呼ぶこともあります。下に来る8通りと上に来る8通りをかけ合わせて、64卦になります。たとえば第11卦の泰(たい、平和)は、下が乾(天)、上が坤(地)です。伝統的な注釈では、天の気が上り、地の気が下りるので両者が交わる、と読みます。この卦が調和や通じ合うことと結びつけられているのはそのためです。

文章の層

伝統的な版の卦のページには、異なる時代に書かれたいくつかの層の文章が載っています。主なものは次のとおりです。

  1. 卦辞(かじ):卦全体に対する短い文章です。第1卦の乾では、元亨利貞のわずか4文字です。日本では「元いに亨る、貞しきに利ろし」と訓読されることが多く、おおもとから大いに通じ、正しさを固く守ることがよい、という意味に読まれます。
  2. 爻辞(こうじ):6本の爻それぞれに対する短い文章です。龍、川を渡る狐、井戸さらいなどのイメージが登場し、生き生きとして具体的なことがよくあります。
  3. 注釈:あとの時代に加えられた層で、伝統的に「十翼(じゅうよく)」としてまとめられています。たいていの版では、そのうち2つが各卦とともに載っています。卦辞を解説する**彖伝(たんでん)と、2つの三爻の卦から卦を解釈し、各爻にも注釈を加える象伝(しょうでん)**です。

卦辞と爻辞が最も古い部分で、本来の『周易』にあたります。注釈は何世紀もあとに書かれたもので、初期の解釈の伝統を表しています。層を区別しておくと役に立ちます。ある一節がやけに道徳的なことを言っているように思えたら、それが古い本文なのか注釈なのかを確かめましょう。私たちのリーダーアプリ I Ching, Plainly では、64卦すべての卦辞、彖伝、象伝、6本の爻辞を、中国語の原文、直訳、平易な読みの3つで表示するので、それぞれの層を分けて読めます。

変爻:6と9の意味

伝統的な占い方では、陰か陽かだけが出るわけではありません。爻ごとに4つの数のいずれかが出ます。

数名前爻変化するか
6老陰切れた線する(陽になる)
7少陽つながった線しない
8少陰切れた線しない
9老陽つながった線する(陰になる)

「老」の爻が、変化する爻、つまり変爻(動爻)です。物事は極まると反対のものに転じる、という考え方に基づいています。陽は最も満ちたときに譲り始め、陰は最も満ちたときに堅くなり始めます。爻の名前に「九」と「六」が使われているのも、これらが変爻の数だからです。

3枚のコインを使う方法

記録に残る最も古い方法は筮竹(ぜいちく、もとはノコギリソウの茎)を使うもので、時間がかかります。現代で一般的なのは、3枚のコインを使う方法です。

  1. コインの表と裏に値を割り当てます。ふつうは表=3、裏=2とします。
  2. 3枚のコインを一緒に投げ、値を合計します。合計は必ず6、7、8、9のいずれかになります。
  3. 出た爻を書き留めます。1回目に投げた結果がいちばん下の爻になります。
  4. さらに5回繰り返し、卦を下から上へ組み立てていきます。

3枚のコインでは、6と9が出る確率はそれぞれ8分の1、7と8はそれぞれ8分の3です。(筮竹の方法では確率が異なり、老陰が老陽よりも出にくくなります。筮竹を好む人がいる理由のひとつです。)

具体例

6回投げた結果が、1回目から順に 7、9、8、8、8、8 だったとします。

ステップ1:本卦を描く。 下から上へ、陽、陽、陰、陰、陰、陰となります。

ステップ2:三爻の卦を見つける。 下の3本は陽、陽、陰で、兌(沢)です。上の3本は陰、陰、陰で、坤(地)です。地が上で沢が下なので、第19卦の 臨(りん、Lin、近づく) になります。

ステップ3:変爻を特定する。 9が出たのは第2爻だけなので、これが変爻です。

ステップ4:之卦を組み立てる。 変爻を反転させます。下の三爻は陽、陰、陰となり、震(雷)になります。地が上で雷が下なので、第24卦の 復(ふく、Fu、回帰) です。

ステップ5:順番に読む。 まず臨の卦辞を読み、全体の状況をつかみます。次に、臨の第2爻の爻辞を読みます。ここが占いの中で最も具体的な部分です。最後に、状況が向かっていく方向として、復の卦辞を読みます。

文章の読み方

多くの読み手が使っている実践的な手順を紹介します。

  1. 何かを読む前に、2つの三爻の卦とそのイメージを眺めます。どんな情景になるでしょうか?
  2. 本卦の卦辞を読みます。
  3. 象伝を読みます。三爻の卦の情景から教訓を引き出していることがよくあります。
  4. 変爻があれば、その爻辞を下から上へ読みます。変爻がなければ、卦辞が占いの中心になります。
  5. 変爻があれば、之卦の卦辞を読みます。
  6. 思いをめぐらせていた問いや状況について、文章が何を示唆しているかを自分の言葉で書き出します。

変爻が多い場合に何を重視するかは、流派によって異なります。変爻が1本から6本までのそれぞれの場合についてルールを示している注釈者もいます。初心者のうちは、変爻の爻辞をすべて読み、いちばんはっきりと響いてくるものに気づければ十分です。

古典として読む

コインが未来を明らかにすると信じなくても、ここから価値を得ることはできます。爻辞は、さまざまな状況のカタログでもあります。困難な始まり、待つべき時、進むと後悔する時。卦をゆっくり読み、自分の考えを書き出すことは、見慣れない角度から状況を眺めるための、ひとつの構造化された方法です。文章は判決ではなく、考えるためのきっかけとして扱いましょう。そして現実の判断は、いつもと同じように慎重に下してください。

さらに深めたいなら、占ったときだけでなく、卦を順番に読んでみましょう。まずは本全体の論理を示す第1卦と第2卦、乾と坤から始めます。第63卦と第64卦、既済(きせい、すでに成る)と未済(びせい、いまだ成らず)は、この本が未完の調子で終わっていることを確かめるのに格好の箇所です。

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