舞台裏

消えかけた昔遊びを、一筆ずつ取り戻す――「郷土遊戯館」制作ノート

POMODIARY チーム · · 6 分で読めます

サイト:youxi.pomodiary.com

子どものころ、遊ぶのに何かを買う必要はありませんでした。

小枝で地面に何本か線を引き、足元から大きめの石を二つ拾って「大砲」に、小石をひとつかみ、あるいは小枝を何本か折って「兵」にする。あとはしゃがみ込めば、昼までたっぷり戦えました。画面も電気もなく、紙一枚すら要りません。コンクリートの地面と石ころが数個、それが装備のすべてでした。

けれど、こうした遊びは静かに消えつつあります。コンクリートの脱穀場(農家が穀物を干す平らな広場で、子どもの遊び場も兼ねていました)は年々減り、子どもの手にはスマートフォンが握られ、遊び歌を唱えられて、しゃがみ込んで孫に遊び方を教えてくれるお年寄りも少なくなりました。棋譜に残ることもなく、大会で指されることもない。このままでは私たちの世代で途絶えてしまいそうです。

そこで私は「郷土遊戯館」(乡土游戏馆)を作りました。地面に線を引いて遊んだ昔の遊びを、一つずつウェブに移していくサイトです。

この記事はもともと中国語で書いたものを、日本語の読者向けに翻訳・調整しています。

郷土遊戯館のトップページ

どんなサイトか

無料・ログイン不要・開けばすぐ遊べる民間遊戯のコレクションです。どのゲームも二人で対戦でき、コンピューターに挑戦することもできます。簡体字中国語・繁体字中国語・英語・日本語・韓国語の5言語に対応しました。

いま遊べるのは6種類です。大砲で兵を撃つ(大炮轰小兵)、虎が羊を食う(老虎吃羊)、数字の華容道(スライドパズル)、スイカ棋(西瓜棋)、三斜棋、五目並べ。これからも少しずつ増やしていきます。

このサイトを作るにあたって、どうしても譲れないこだわりがいくつかありました。

こだわり一:アニメ調ではなく「本物」に

最初はグラデーションと角丸で駒を描きました。すっきりはしていたのですが、どうもしっくりきません。それは「描いた」ものであって、本物ではなかったのです。

民間遊戯の魂は、まさにその粗削りな本物らしさにあります。そこでビジュアルを一から作り直しました。盤は踏み固められた土の地面に変え、マス目は小枝で土に刻んだ浅い溝にして、曲がって揺らぐようにしました。大砲はいびつな形の本物の石二つ、兵は樹皮のついた小枝12本です。すべて実写の質感を使い、石の輪郭まで不規則にして、本当に地面から拾ってきたように見せています。

大砲で兵を撃つ

石が一つ空いたマスを飛び越えて小枝を撃ち落とし、ぱっと土ぼこりが舞う。これこそ、私の記憶にあるあの遊びの姿です。

こだわり二:コンピューターは本当に「賢く」

ひと目で勝てるような「コンピューター対戦」が大嫌いなので、最高難度は普通の人ではまず勝てないくらい賢くしたいと考えました。

これが想像以上に大変でした。たとえば「大砲で兵を撃つ」は、ルール上は兵の側が数で勝っていて、まじめに指せば実は兵の側が必ず勝ちます。コンピューターがどれだけ強くても、大砲側を持てば逆転できない。それではゲームとして成り立ちません。そこでコンピューター同士を何度も対戦させながらパラメーターを調整し、ようやく両方に本当の勝ち目があるようにしました。

「虎が羊を食う」はもっと典型的でした。虎が2匹だと、まったく追い詰められず、かといって十分に食べることもできず、どう調整しても一方的になってしまいます。最終的には、もっとも古典的でいちばんバランスのよい「四虎二十羊・米字格」(すべてのマスに対角線が交差し、「米」の字の形になった盤)に切り替えました。羊はまず一匹ずつ盤に置いていく必要があり、置くたびに飛び越されて食べられる危険があります。それでも20匹がそろえば、4匹の虎を封じ込める網を張れるだけの数になります。これでようやく攻守が釣り合い、深く読んだほうが勝つゲームになりました。

虎が羊を食う

こだわり三:ただのゲームではなく、ひとつの文化

資料を調べているうちに、思いがけない発見がありました。こうした泥くさい昔の盤上遊戯は、実は世界中に広がるゲームの一族に属していたのです。

「一方は少数だが強く、もう一方は多数だが弱い」という非対称の狩りは、人類に共通する古いテーマです。「虎が羊を食う」は、ネパールの Bagh-Chal(バグチャル、虎とヤギ) とほぼ同じゲームで、ヨーロッパのキツネとガチョウや、北欧ヴァイキングの**王の盤(タフル)**とも親戚にあたります。石ころ数個と地面の引っかき傷だけで、山村の子どもたちが、遠く離れた土地の人々と同じ知恵比べをしていた。それこそが民間遊戯のいちばん心を打つところです。

だから各ゲームのページの下部には、詳しい遊び方、その由来、そして「あのころの思い出」を書きました。検索エンジンのためでもありますが、それ以上に、この文化をゲームと一緒に残したかったのです。

あのノキアの画面のモナ・リザ

思い出といえば、いちばん胸に刺さるのは数字の華容道です。

昔の Symbian 携帯(スマートフォンが普及する前、ノキアの端末に載っていた OS)には、名画を四角く切り分けたスライドパズルがプリインストールされていました。授業中にこっそり、布団の中でこっそり動かしたものです。『モナ・リザ』は、何世代もの人にとって共通の「初恋のパズル」だったのではないでしょうか。私はそれを忠実に再現し、「あと一枚なのに」というあのもどかしさまで残しておきました。

さらに、サイズごとに違う世界の名画を用意しました。3×3 は『モナ・リザ』、4×4 はゴッホの『星月夜』、5×5 は葛飾北斎の『神奈川沖浪裏』。いずれもパブリックドメインの原画を使っています。

数字の華容道:モナ・リザ

5×5 の、富士山に向かって巻き上がる大波を切り刻んでからまた組み立てるのは、正直ちょっとクセになります。

数字の華容道:神奈川沖浪裏

ルールは誰も読まないから、「タップについていく」

私自身、説明書を読むのが好きではありません。だから、誰かがルールを読んでくれるとは期待せず、『王者栄耀(Honor of Kings)』のようなチュートリアル(中国で大人気のスマホゲームです)を作りました。背景が暗くなり、スポットライトで次の操作が強調され、手取り足取りタップさせてくれます。この大きな石を選んで、自分の手で兵を一つ撃ち落とす。30秒もあれば、遊びながら覚えられます。

チュートリアル

こだわり四:数合わせはしない

途中で一気に何種類か追加したこともありましたが、そのうち3種類は自分で遊んでみて基準に届いていないと感じ、すぐに取り下げました。ゆっくり育つほうがいい。数合わせのもので人をごまかしたくはありません。 館にあるゲームはどれも、私自身が何度でも遊びたいと思えるものでなければなりません。

おわりに

これを作ったのはほかでもない、こうした「地面に描く遊び」を私たちの世代で途絶えさせたくなかったからです。そこに詰まっているのは、学校帰りの道ばたでしゃがみ込んだ時間であり、羊一匹を生かすか取るかで祖父と孫が顔を真っ赤にして言い争った光景であり、「お金がなくても思いきり楽しめる」という土地の知恵です。

もしあなたも遊んだことがあって、ふるさとではどんな名前で呼ばれていたか、虎と羊が何匹ずつでどんな盤だったかを覚えていたら、ぜひ教えてください。その遊びの名前を、もう一つ残しておきたいのです。

遊戯館はこれからも育ち続けます。

遊びに来てください:youxi.pomodiary.com

あわせて読みたい